『食育』のルーツと『食育』が目指すもの

食育 知っトク情報

沖縄の古くからのことばに「クチカラドゥ、シーラハイール。」があります。私は、このことばを、「食の乱れは病気の引き金になる」と解釈しています。食のあり方を考えて、健康長寿の延伸につながる医食同源を実践していきましょう。『食育』のルーツと『食育』が目指すものについて簡潔にまとめます。

食育とは?

『食育』は明治時代にさかのぼります。石塚左玄の著書に記載されている「体育智育才育ハ即チ食育ナリ」が、『食育』の始まりとされています。すなわち、『食育』とは、知育・徳育・体育と同等に位置付けられる生きるうえでの礎であり、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる人間を育てる学びのことです。食は生涯にわたって続く生きとし生けるモノの基本的な営みです。したがいまして、子どもから大人までのすべての世代において、『食育』の取り組みは重要です。わが国では、「食育基本法」に基づく「食育推進基本計画」を作成して、様々な食育施策が進められています。現行の「第3次食育推進基本計画」では、5つの重点課題が取組まれています(表1)。また、毎年6月は「食育月間」、毎月19日は「食育の日」に制定されています。国や地方公共団体、関係団体などが協力して食育推進運動を実施し、食育の一層の浸透をはかるイベントが各地で行われています。

私たちを取り巻く食と健康課題

近年、食に関連した様々な課題が浮き彫りとなっています。具体的には、偏食や不規則な食事などによる肥満や、それらが原因となる生活習慣病の増加です。また、若い女性を中心にみられる過度のダイエット志向によるやせ、高齢者の低栄養傾向に関連したフレイルなどの問題も指摘されています。また、食品ロス、食の安全安心、食品自給率に関する問題など、私たちの食を取り巻く環境が大きく変化してきています。

食べる力

食と健康課題への対策として、私たちは、『食育』を通じて「食べる力」イコール「生きる力」を身につけることです。「食べる力」には、「心と身体の健康を保持・増進できる力」、「食事の重要性や楽しさを理解できる力」、「食べ物を選ぶことができる、食事づくりができる力」、「家族や仲間と一緒に食べる楽しみを味わうことができる力」、「食べ物の生産過程を知り、感謝する気持ちを持つことができる力」などが含まれます。これらは、子どものころから家庭や学校、地域など様々な場面で学ぶことで、おのずと身につけていく力です(図1)。そして、大人になってからも「食べる力」を実践し続けていく必要があります。さらに、身につけた食の知識・経験や日本の食文化などを次世代に伝えていくという役割も有しています。これらの具体的な取り組み・場面・ツールとしては、「朝ご飯をしっかり食べよう」、「学校給食」、「農業漁業体験」、「地域での料理教室」、「こども食堂」、「社員食堂」、「スマートミール」、「フードバンク」、「オンライン料理教室」などがあります。これらの詳細については、別の機会にご紹介できればと考えています。

おわりに

『食育』のルーツと『食育』が目指すものについて概説しました。食と健康に関連した様々な課題が浮かび上がってきています。これらを解決に向かわせるためには、『食育』を通じて「食べる力」を身につけることです。さあ、今日から食と真正面から向かい合うことにしませんか。すでに取り組んでおられる方々は、インフルエンサーとなって、「食べる力」を広めていきましょう。

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