健康長寿の延伸のために知っておきたいこと2
少子高齢化と健康長寿
みなさん、少子高齢化と健康について考えたことがありますか。少子高齢化が進むと労働者人口の減少、労働者の社会保障義務の増大、社会保障制度の見直しなどに目を奪われがちですが、少子高齢化は健康問題にも大いに関係しています。健康長寿の延伸のために知っておきたい少子高齢化と健康長寿についてまとめます。
少子高齢化
わが国の人口のピークは2010年の12,806万人で、以降、人口減少を続け、2050年頃に1億人を割り込みことが推測されています。15~64歳の生産年齢人口(一般的には労働者人口)も減少を続け、2060年頃には全人口の概ね50%まで減ります。別の見方をすれば、65歳以上の高齢者に働いてもらわなければ、稼ぐ世代は全人口の約半分しかないことになります。65歳以上の高齢者の人口割合は増え続け、2060年には概ね40%になります。そうなると、全人口に占める15歳未満のこどもの割合は概ね10%になります。すなわち、15歳未満のこども人口が800万人を切ってしまいます(図1)。
現在の働き方では、一般的に60歳あるいは65歳で定年を迎えます。定年後は年金などの社会保障費を受給します。現役世代の15~65歳の労働者がまじめに働いて税金を納め、すべての国民が消費税を納めて、65歳以上の高齢者を支えるこうとになります。少子高齢化社会になると、約2人の労働者が1人の高齢者を支えることになり(図2)、労働者へ負担となってのしかかることが危惧されています。よって、しっかり健康づくりを実践して健康な高齢者になっていただくこと、65歳以上の高齢者の労働雇用を増やすこと、安心して子供を産んで育てる社会をつくることなどの社会保障政策の充実が、わが国の喫緊の取り組むべき重点課題です。
平均寿命と健康寿命
わが国の男女別の平均寿命と健康寿命を差を考えてみましょう。健康寿命とは、介助や介護を要しない日常生活に制限のない期間を意味します。男性の平均寿命と健康寿命の差は概ね9年、女性の平均寿命と健康寿命の差は概ね12年です。これは、男性では介助・介護を要する期間が9年、女性では12年あることを意味しています。この差を小さくして健康長寿社会になれば、社会保障費が低減できる可能性、労働者人口を増やせる可能性、労働者世代の負担軽減が十分に期待できます。すなわち、健康づくりはわが国の健全な未来社会の実現にとって重要な政策なのです。さて、わが国の要介護の原因となっている病気をご存知でしょうか。要介護の2大原因は脳卒中と認知症です(図3)。両方の病気ともベースに高血圧などの生活習慣病が存在していています。生活習慣病の管理不十分が大きな病気を引き起こす原因となっていますので、その対策は健康長寿社会の実現に直結します。
おわりに
少子高齢化および平均寿命と健康寿命についてまとめました。みなさん、日々の食事、運動、そして地域活動を継続して元気で活力あるご自身を体現してください。
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